マンションの寿命_2

マンションの寿命_1からの続き:在宅勤務メインになりそうなので地方に中古マンションを買おうとしたんだけど、マンションの寿命が気になりだして調べてます)

 

そもそもコンクリートって寿命が何年くらいなのか気になるわけです。

 

■コンクリートの寿命

マンションの物件情報を見ているとRC造だのSRC造だのって書いてるけど、RCは「鉄筋コンクリート」のことでSRCは「鉄骨鉄筋コンクリート」のことらしい。コンクリートの強度を高めるために、コンクリートの内部に鉄の筋や骨を入れているわけです。

 

コンクリートって、できたばっかりのときはアルカリ性なので内部の鉄筋が錆びることは無いんだけど、大気・風雨にさらされているうちに徐々に中性化してきて、その中性化が鉄筋の深さまで到達すると鉄筋が錆びはじめて、鉄は錆びると膨張するのでコンクリートにヒビが入り、そのヒビから水分が染み込んで鉄筋がさらに錆びてまた膨張してコンクリートにダメージを与えて剥落なんかを引き起こす、と。鉄筋自体も錆びることで強度が落ちるので、こうなるともうその物件には住めなくなるわけです。

 

国土交通省が平成25年9月に公開した ”「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書 取りまとめ後の取組紹介” って資料の中でRC造の建物の寿命について綺麗にまとめられているんだけど、その資料によると、様々な調査の中で最も長いものでは「120年。外装仕上げで延命して150年」(大蔵省主税局(1951)「固定資産の 耐用年数の算定方式」)、もっとも控えめなものでは「鉄筋コンクリート部材の耐久実態は50年以上」(篠崎徹・毛見虎雄・平賀友晃・中川 宗夫・三浦勇雄(1974)「約50年を経過した鉄筋コンクリート造の調査」 日本建築学会学術講演梗概集)ってなってる。

 

120年だ150年だって言ってるのが1951年の資料って点が若干気にはなりますが、ここでは「RC造の建物の寿命は50年以上。外装やメンテによって150年まで延命可能」と考えておきます。SRCも同じようなもんでしょう。「150年もつなら孫の代まで残せるかも。やっぱりマンションって資産なんだなぁ」って、この段階でまたちょっと気分が上がったよね。

 

「部屋、ご覧になります?(孫)」「いいんですか?(その時代の永作博美とか小倉久寛みたいな人)」「この建物100年前のものなんですよ(孫)」「へー素敵!(その時代の永作博美とか小倉久寛みたいな人)」。

 

でも待てよ。古い団地なんかでコンクリートが剥落して錆びた鉄筋が剥き出しになって50年程度で解体されてるケースもよく見るよね。。。

 

■中性化の影響を遅らせるには?

「じゃ、コンクリートの表面から鉄筋までの部分をより厚くすれば長持ちするのかな」とか「コンクリートの表面に何か貼り付けるとか塗り付けるとかして、大気・風雨に直接さらさないようにしたら、さらに長持ちするのかな」って思うわけですが、当然、そういったことも考えられているわけです。

 

コンクリートから鉄筋までの厚さのことを「かぶり厚」って言うらしいんだけど、その「かぶり厚」は建築基準法で最低値が決められていて(基礎部分は6cm、土に接する部分は4cm、耐力壁・柱は3cmなど)、すでに市場に出ている物件であればこれをクリアしてるわけだけど、あくまで最低値なので実際はこれより厚いものが多いそうです。

 

中性化が浸透する速度は何か難しい数式があって厚さの二乗に比例するらしく、普通の環境(海のそばとかじゃなく)・普通のコンクリート(「水分多めのセメントで作ったコンクリートだと質が悪い」とかあるらしい)の耐力壁なら厚さの二乗に6.5を掛けた値が年数の目安になるそうだ。かぶり厚が3cmなら(3×3)×6.5=58.5。つまり中性化が鉄筋に到達するまで60年程度かかる、と。

 

それと、コンクリートを剥き出しにしないために表面に何かを貼ったり塗ったりするわけですが、よくあるのは「タイル」「吹付けタイル」「ALCパネル」とのこと。

 

「タイル」の場合は初期費用が高いけど、特別な塗装なんかしなくてもそのままで30年かそれ以上はもつらしい。普通の汚れなら高圧洗浄で落とせるし。ただ、湿式工法(モルタルにタイルを貼り付ける工法)の古いマンションだとタイルが浮いたり欠けたり剥落したりすることもあるのでチェック・補修は必要とのこと。タイル貼りのマンションといえば神宮前の「コープオリンピア」みたいなビンテージマンションってイメージだけど、最近は新築マンションもタイル貼りのものが多いらしいね。いまは乾式工法っていって剥落しにくい方法で貼り付けてあるそうです。

 

「吹付けタイル」はタイルって言っても実際は塗装に近くて、初期費用は安いんだけど、下塗り、主材、上塗り、って3回塗らないといけないらしく耐久性も15年程度らしい。21世紀に入ったあたりまでは主流だったんだって。そういえば、高く足場を組んでスプレーガンでなにやら塗ってるマンション、よく見かけますね。

 

ALCパネル」は軽量気泡コンクリートのことで、コンクリートに気泡を混ぜて固めた軽量な板。水に浮くほど軽いのでタワマンの外壁に使われるケースが多いらしい。耐久性は50年程度とのこと。パネルのつなぎ目のコーキング材が劣化しやすいんでメンテナンスが必要とのこと。おそらくゴンドラで吊るされて作業をするんでしょうね。

 

一時期、盛んに言われてた外断熱、やっぱり日本ではあんまり普及していないみたいですね。

 

ということで。

 

コンクリート自体は最低でも50年程度の耐久性がありそうだし、さらにそれに何かを貼ったり塗ったりしてしっかりメンテナンスすれば、やっぱり100年とか150年とかもちそうですね。50年程度でボロボロになった古い団地はそういえばコンクリート剥き出しだったかな。それにメンテナンスしてる感じもなかったし。

 

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* 念の為、耐震性について

 

1981年6月から施行された新耐震基準(震度6強~7程度の揺れでも倒壊しないような構造基準)を満たしているマンションならとりあえず安心ですかね。逆にあえてそれ以前の物件を選ぶ必要も無いでしょう。

 

「耐震等級」っていうのもあるそうで、等級1が新耐震基準を満たすレベル、等級2が等級1の1.25倍、等級3が等級1の1.5倍の強度らしんですが、ほとんどのマンションが等級1なんだそうです。というのも、それ以上を満たそうとするとコストがかかって高額になって売れないかららしい。

 

建物の耐震性も重要ですが、個人的には地盤とか立地のほうが重要な気がする。それとタワーマンションはまったく選択肢として考えていないので免震だの制震だのはあんまり気にしない。

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と、ここに来て。

 

どこだったかの古いマンションについて「毎日どこかで漏水が起きてる。もう修理も無理」ってクチコミを見たのを思い出した。そういえば「配管はマンションの血管」っても聞くし、もしかしたら配管がマンションの寿命を縮めることもあるのかな。。。